2021年に向けて2020年を振り返る

過去の掲載事例【2020年12月掲載】

コロナ禍で新しい生活スタイルへの適応を強いられ、予期せず仕事への取り組み方も変わりました。しかしながら、敢えてポジティブに捉えると働き方改革が進化、深化した1年だったとも言えます。

昨年のお知らせで2019年の重点課題は”働き方改革”関連法案対応だったのでは」と記しました。1年前は2020年もそれは継続し、「働き方改革」は多くの場面で使用者、雇用する側が社内のしくみや規則を法適用しながら変更し、従業員側がそれに少しずつ適応するかたちで、徐々に働き方改革が進んでいくであろうと予測していました。しかしながら、新型コロナ感染防止措置により、従来の働き方の常識を一気に覆す状況に至りました。テレワークが広がったこと、直接対面をしないでコミュニケーションをとること、が基本的な仕事のやり方になったことがその要因です。

テレワークによって従業員にとっては働く場所の選択肢が広がり、時間の制約は緩くなりました。自分の意思によって働く場所や時間を選択できる方が増えたことでしょう。一方、使用者の指揮命令や時間管理による”統制力”は低下しました。つまり従業員側が働き方を変えることをリードした1年になったと言えます。

テレワークの広がりを業種別にみてみると教育や学習支援業、金融・保険・不動産業などが50%前後、サービス業約35%弱、小売業でも20%、全業種平均では40%弱まで拡大しました(数値は2020年6月内閣府発表の調査データによる)。この傾向は今後さらに進んでいくと思われます。 雇用管理上の観点から言えば、従前の労働時間の管理方法ではテレワークの時間管理の精度には限界があると言わざるを得ません。そのことにより賃金の対価が労働時間基準という概念をリセットしなければならなくなりました。いわゆる裁量労働制の適用が広がったということが言えます。

今後は賃金は仕事の成果に応じて支払うものという考え方にどんどんシフトしていくでしょう。 つまり多くの企業でこれまでの賃金体系や評価制度の見直しや変更を行わねばならなくなったということです。さらにその先には職務に応じて賃金を決めるジョブ型雇用が広がることも予測できます。

従業員にとっては時間効率を向上することによって、労働時間に対する裁量範囲が広がり、従前は予想もしなかった副業を持つこともへの可能性も広がります。すなわち、雇用する側も従業員も、これまで指摘されていた従前の日本型雇用システムにおける様々な問題点や課題をこの1年で急速に多くの人が認識し、体験することになったといえます。

評価基準や賃金制度のみならず、今後は採用や育成方法もオンライン形式をベースとして構築していかねばなりません。 片や、従業員は上司の指揮命令どおりではなく、自ら主体的に顧客満足を実現する成果物を生み出す創造性が求められることになるでしょう。 これらのことを勘案すると2021年は雇用する側、される側にとって「加速的に飛躍的に働き方改革にとりくむ1年」になりそうです。

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