新年度を迎え、各社、今年度の人財育成と組織の課題への取り組みを開始される時期だろうと思います。そんな中で、“人手不足”、“採用しても長続きしない”といった問題は多くの企業に共通しているのではないでしょうか?コロナ後のリバウンド景気も影響して、業種によっては当面この課題への取り組みが続くと思われます。
帝国データバンク社の調査結果によると、正社員、非正規社員の採用傾向は下記のようになっています。
最近5年間で「正社員の採用予定がある」と回答した企業は平均61.5%、「非正規社員の採用予定がある」と回答した企業は平均45.9%(いずれも2021年を除く)と、年度によって多少の変動はあるものの一定の数値を示しています。
また「正社員の採用予定はない」と回答した企業は27%前後、「非正規社員の採用予定はない」回答した企業は40%前後(いずれも2021年を除く)と、こちらも年度によって大きな変動はありません、このことから、(当然のことではありますが)多くの企業では計画的に採用が行われていることがうかがえます。またその計画は正社員と非正規社員が担う職務・職責の明確な区分や総額人件費予算に基づくものと思われます。
なお正社員、非正規社員、共に採用予定が70%を超えている業種もあります。これらの業種は職務・職責を問わず、人手不足が非常に深刻な状況であることが想像できます。。
では、そもそも正社員と非正規社員の違いはどこにあるのでしょうか?貴社では組織上の役割や職務・職責を明確に定められていますか?
一般的には以下のような区分をされているのではないでしょうか?
ところが、2019年から本格的に取り組みが始まった働き方改革(主に労働時間の軽減、同一労働同一賃金対応)や多様な働き方を後押しする措置の拡大、さらにこの4月に法改正された労働条件明示のルール変更など、これらの動向から勘案すると正社員と非正規社員の違い、区分ラインや処遇差が従前ほど明確ではなくなってきています。下記の表をご覧下さい。(※ブルーの箇所が、従前ほど区分や処遇差が明確ではなくなったと思われる項目)
正社員の終身雇用、年功序列制度は多くの企業で見直しが図られていますし、総合職、一般職という区分も最近ではあまり目にすることは少なくなりました。
一方で、職務を限定した正社員のジョブ型雇用が拡大し、小売店の店長が非正規社員であることは珍しいことではなく、専門的な職務を担うスタッフを非正規社員として採用するケースも出てきています。
このことは非正規社員の活躍の場は正社員の補助、定型業務だけに限定するものではなくなってきた、という見方ができます。近年の最低賃金の上昇により、人件費の抑制だけを目的として非正規社員で要員を充当する、という考え方も再考の必要がありそうです。
昨今の労働環境の変化を考えると、正社員と非正規社員ついて従前の区分を一旦リセットすることも必要ではなかと感じます。職務分析や職務評価を通じて、組織において求める職務・職責、役割などの観点から、正社員と非正規社員の構成や配置を再度練り直し、要員計画を立てる必要があるのではないでしょうか?正社員でなければならない根拠はどこにあるのか、非正規社員ではダメな理由は何か、の再検討をしてみて下さい。
要員計画再構築の結果、今まで以上に多岐にわたる人事制度の設計や多様な雇用管理が必要となってくるかもしれません。ただ、それに取り組まなければ人手不足の解消はもとより、組織発展のための人財確保はますます難しくなっていくと考えます。
本コラムに関して詳しい説明をご要望の方、ご質問、その他お問合せは「お問い合わせフォーム」を
ご利用下さい👇