本年2月当サイトのトピックスに掲載したコラムで、「従業員の『ワークエンゲージメント』が組織マネジメントに及ぼす影響について」、記述しました。その続編として、今回はワークエンゲージメントに関する調査結果をもとに、『ワークエンゲージメント』が高い人の特徴から、高く維持するための要因について掘り下げてみます。
ここで、『ワークエンゲージメント』に関する定義をもう一度まとめておきましょう。
『ワークエンゲージメント』とは働きやすい、働きがいがあると感じる、ポジティブに仕事と向き合
う心理状態のを意味し、それは以下の3つの要素で構成されている
・活力:仕事中のエネルギーレベルが高い状態、低下しても回復がはやい状態
・熱意:意義ややりがいを感じ、深くかかわろうとする状態
・没頭:仕事に集中し、達成感を味わおうとする状態 さらにそれらは「一時的な状態ではなく、
仕事に向けられた持続的かつ全般的な感情と認知である」
『ワークエンゲージメント』が高い人と低い人の差には個人の資質が関係していることは否めない
が、それよりも帰属組織やチーム、周囲からの動機付けによる影響が大きいと考えられている
この定義における「帰属組織やチーム、周囲からの動機付けによる影響が大きいと考えられている」点についてその真偽を確認するために、当社が行った『ワークエンゲージメント』に関する調査データから、『ワークエンゲージメント』が高い人の特徴について考えてみます。
今回行った調査の概要は以下です。
従業員が会社組織に帰属して働く上で鍵となる3つのテーマを
1.職場環境・仕事へのとりくみ・働き方について
2.モチベーション向上や成長への支援について
3.会社の方針や社風
に分け、「ワークエンゲージメントが高い状態≒各項目に対する納得度・共感度が高い状態」とし、上記のテーマごと10項目、合計30項目について、納得度・共感度の程度を調査しました。
回答者には納得度・共感度を5段階「とても高い・概ね高い・どちらでもない・あまり高くない・全く高くない」で評価してもらい、回答結果は「どちらでもない」を50点とし、100満点でスコア化しました。調査結果のサマリは以下です。
●ワークエンゲージメントのスコアが高い人のグループ(以下、Aグループ)の平均
上記1~3のテーマすべてにおいてスコア80点~90点で、
回答の内訳は【とても高い:51%、概ね高い:47% どちらでもない:2%】でした。
テーマ別でスコアが高かった項目を3テーマ毎に見てみると、
1.職場環境・仕事へのとりくみ・働き方について 上位3項目は
「部署やチームは相談したり、話しやすい雰囲気である」
「自分の仕事の範囲や責任、目標が明確である」
「自主性・自立性が重んじられている」
2.モチベーション向上や成長への支援について 上位3項目は
「チャレンジできる環境がある」
「成長・ステップアップできる機会がある」
「成果や行動に対して適宜、フィードバックがある」
3.会社の方針や社風について 上位3項目は
「会社が新しいことにチャレンジしている」
「成長戦略が明確である」
「企業理念が明示され、社内全体に共有されている」
以上のような結果でした。これらのことから考察すると、『ワークエンゲージメント』をより向上させる要素として、
会社(帰属組織)が成長・拡大にむけてチャレンジしていること、
それは部署やチームで共有され、個々人が関わる領域において、目標や責任の範囲が明確であり、
職務遂行にあたっては部署やチームや内で情報交換がさかんに行われていること、
と要約することができます。
一方、「ワークエンゲージメント」スコアが低い人のグループ(以下、Bグループ)のスコア平均は
100点満点の20~30点にとどまり、個々の項目ではAグループとほぼ真逆の傾向を示しました。
特にAグループとBグループの間でスコア差が大きかった項目は、以下でした。
1.職場環境・仕事へのとりくみ・働き方について
「自分の仕事の範囲や責任、目標が明確である」かどうか
「部署やチーム内でのコミュニケーションの程度や協力体制がある」かどうか
2.モチベーション向上や成長への支援について
「成長・ステップアップの機会があり、自己のキャリア形成がイメージできる」かどうか
「成果や行動に対して適宜、フィードバックがある」かどうか
3.会社の方針や社風について
「帰属組織の成長戦略が明確」かどうか
「上司や周囲の従業員が経営理念を実践(あるいは実践のための努力)をしている」かどうか
従業員の高いパフォーマンスを期待するためには、『ワークエンゲージメント』が高い人財を1人でも多く輩出することであり、それが低い人財を1人でも少なくすることが大きな課題であるといえます。
調査結果から、『ワークエンゲージメント』の程度を左右する要因には
・会社が発展的に進む方向を明確に定め、
・従業員もベクトルを同じ方向にあわせることができよう、部署やチームで必要不可欠なコミュニケ
ーションがあり、
・個々のパフォーマンスについて適切なフィードバックや支援があること、
が大きく関わっている、と考察します。
これらの取り組みは、人財マネジメントにおいて常に重点課題とされてきましたが、今回の調査結果から、これからのことに取り組み目的があらためて明確になったと感じます。
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