承認効果

今年度も新入社員が入社して早3ケ月がたち、入社後研修や仮配属期間を経て、いよいよ本配属の時期を迎える頃ではないでしょうか?同時に新入社員個々人の個性や得意なこと、不得意なことを周囲のメンバーが認識し始める時期でもあると思います。
すなわち新入社員に対して、勤務態度や立ち振る舞いのみならず、仕事ぶり、業務を通じてのアウトプットや成果について『認める=承認する』を積極的に実施して頂きたい時期を迎えました。

「認められることはモチベーション向上につながるという説」についてはあまり異論はないと思われますが、それを裏付けるデータとして、過去、アルバイトスタッフ対象に実施された求人雑誌のアンケートがあります。
スタッフへのアンケート 「やる気が出たのはどんなとき」の回答上位5つは
  1.お客様に喜ばれたとき
  2.自分の仕事に対する評価があったとき
  3.仕事の成果が実感できたとき
  4.上司から信頼されていると感じたとき
  5.責任のある仕事を任せられたとき
でした。上記「3」を除けば、やる気が出たときとは「顧客や上司から認められたと感じたとき」、であると言えます。
やる気が出るのは、認められた結果、給与や待遇がよくなる期待感があるのかもしれませんが、自分のパフォーマンスが周囲に受け入れられたこと、そしてそのことで達成感を得たこと、がやる気の源泉になっていることを裏付けるデータといえるでしょう。

やる気の向上によって ⇒ 仕事に対する貪欲さ、関心が深まり ⇒ パフォーマンスが向上し
⇒チーム内の信頼関係が促進する というGOODサイクルの展開が期待できます。
人財育成では様々な知識やスキル習得の場を設けることは非常に重要ですが、習得したことをいかにアウトプットしているか、ということに注目し、承認したり、何らかの評価を行うことが、必須です。
また『承認』は会社や組織へのエンゲージメント(帰属意識や貢献意欲)を高めると共に、離職の抑制効果があるとも言われています。

周囲からみて、本人に伝わりやすい「承認」行為は『褒める』ことです。
弊社も「いかに褒めるか」というテーマを研修で取り上げていますが、受講者の中には「何について褒めていいかわからない」、「褒めることは難しい」といった苦手意識をもっている方が結構いらっしゃいます。
『褒める』ポイントは
  ・結果のみならず、プロセス(過程)も褒める
    ↳期待どおりの結果に至らなくても、それに至った過程に着目する
  ・全体的イメージではなく、具体的な内容に言及してほめる 
    ↳単に「頑張ったね」ではなく、「●●について頑張ったね」
  ・人前でほめる
    ↳「褒める」に値する行為を周知する 表彰は人前で褒める典型的な手法
  ・次の成長につながるような言葉を付け足す
    ↳褒められることによって得た自信や達成感に一層の刺激を与える
以上のような点があげられますが、褒めることに苦手意識をお持ちの方には、あまり構えずに、相手の小さな変化に気づくこと、から始めることをお勧めしたいです。変化に気づくことは、相手を認め、そして褒める言葉へと変化して行くことが期待できます。
なお新入社員育成に関して、何かしらのアウトプットを「褒めた」のちは、褒められたことによって得た自信を周囲へのいい影響力に変えてもらうため、仕事のある部分について権限移譲したり、後輩スタッフのメンターをまかせるなど、どんどん「認めている」領域を広げていくと、さらに成長が期待できます。

一方、過度に『褒める』ことにはその逆効果(副作用)もあることを認識しておかねばなりません。
褒められると知らず知らずのうちにプレッシャーを感じたり、「もっと頑張らねば」という意識が過剰に強くなる場合があります。そのことによって、難易度が高すぎる目標を設定して無理をする、表彰されて燃え尽き症候群に陥る、といったケースが想定されます。
特に褒められることに慣れていてエリート意識が強い人ほど「失敗は許されない」「間違ったら恥ずかしい」といった自分自身を追い込む窮屈な心理状態をつくってしまうこともあります。
「次も期待しているよ」や「すごいね」の過度な連発は、相手にプレッシャーをかけ、期待されることが苦痛、と思わせるような逆効果になる場合があることをわきまえておきたいです。

ちなみに『認める=承認する』は上司から部下、先輩から後輩 といった一方通行の行為とは限りません。キャリアや年齢に関係なく、「認められたい」(=承認されたい)という欲求は誰もがもっていますので、部下から上司、後輩から先輩、あるいは同僚間での承認は双方がより理解を深める行為であると言えます。部下から上司、後輩から先輩、あるいは同僚間で認め方としては、感謝の意を伝える、信頼していることを伝える、相手の強み(得意なこと)に言及する、といったことがあげられます。

『認める=承認する』とは褒め言葉を発することのみならず、相手の存在や言動を(頭ごなしに)否定しない、そういう考え方もあるのかと受け入れる、さらに、叱る(=改善を求める) ことも含まれます。チームや職場内で互いに認めあい、やる気とプラスの刺激が充満する環境を創出したいものです。

弊社ではいくつかの研修で「相手を認めるコミュニケーション力を養う」ためのカリキュラムを提供しています。
これらの研修でヒントを得て「効果的に認める」技を身に着けませんか?

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