働き方改革と会社の変革

働き方改革の関連法案が施行され約3年経ちました。3年前と比較し貴社ではどのような改革が実現したでしょうか?

労働時間の適正把握、時間外労働時間の上限制限と有給休暇取得促進(企業の付与義務化)など、ほとんどの企業様がまずこれらから適正化にとりくまれたのではないかと思います。

では世の中ではどの程度、改革が進んだのでしょうか?

厚生労働省『就労条件総合調査』(対象は常用従業員30名以上の民間企業)によると、労働者1人あたりの平均有給休暇の取得率の推移は以下のとおりです。(表は『就労条件総合調査』に基づき当社で作成)

有給休暇取得関連の法施行が平成31(2019)年4月ですので、その影響は令和2(2020)年以降にあらわれます。調査回答企業の平均取得率をみると2020年は56.3%で前年より3.9%上回っており、2019年以前の毎年の伸び率(2%未満)の約2倍に達しています。取得が進んだ背景には2020年2月以降、新型コロナ感染拡大の影響もあったと思われますが、施行以前より一気に取得率がアップしました。

では企業規模や産業別の取得率はどうでしょうか?

やはり企業規模が大きいほど取得率は高く、1,000人以上の大企業は60%を超えています。ただ前年との比較は企業規模に関わらず、前年、前々年を上回っており、就業員数100~299人企業の直近2年間は取得率55%台、2022年の取得率は2年前の2020年対比で105.7%と1,000人以上の企業を上回っています。産業別では小売業やサービス業など、接客業は他の産業に比べ、取得率が低いものの、2020年と2022年の比較では伸び率が他の産業を上回っています。

この3年間で貴社の従業員1人あたりや部署別の有給休暇取得率、労働時間はどのように変化したでしょうか?

これまでの働き方改革とは労働時間の短縮や有給休暇の取得促進といった法改正に準じた従業員の労働環境改善が先行しているイメージがありますが、会社自体も働きがいのある会社へ変革してこそ、働き方改革が実現すると言えます。

成長・変革の指標の1つとして、一般的に「生産性(成果・付加価値÷投入資源)」がつかわれます。生産性向上のために何が必要でしょうか?

生産性向上と業務効率化は必ずしもイコールではありませんが、業務改善で時間効率を上げる(デジタル化、無駄の排除)ことにより創出する付加価値の量を増やす、あるいは、より短い時間で価値を創出することは生産性向上に直結します。他方で投入資本を少なくすることも必要で、そのためのは従業員個々の知識やスキルアップ、やりがい(ワークエンゲージメント)の向上が必須要件と考えます。
(※「ワークエンゲージメント」の定義:イキイキと仕事に誇りをもって関与し、熱意をもってとりくむこと)

つまり、従業員がイキイキと誇りをもって目の前の仕事に関与し、熱意をもってとりくむ状態を維持すること、これらが会社変革の中心テーマとはなるのではないでしょうか?具体的には
・従業員個々人の能力とスキルアップ【育成とキャリアアップ】
・モチベーションにつながる人事制度の運用【評価・報酬制度の改定】
・チームで問題解決をする環境づくり【主体的な提案とフィードバックがあるコミュニケーション】、これらがキーワードになりそうです。

まもなく新年度がスタートします。貴社では2023年度の働き方改革⇨会社の変革の目標設定と達成までのプロセスはもう社内で周知・共有は済まされましたでしょうか?

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