賃金引上げと助成金活用

毎年10月に地域別最低賃金(時間給)が改定され、10月1日以降、都道府県毎に順次発効されます。2023(令和5)度改定予定の全国加重平均額は1,004円で、前年の2022年10月1日以降に発効された金額より、43円(4.47%アップ)引き上げられる予定です。前々年2021年10月1日以降に発効された全国加重平均額は930円ですから、2年で74円引き上げられることになります。直近10年間の推移からみると、この2年間は大幅な改定です(2020年10月~2021年9月に発効された地域別最低賃金を除く)。
例年のことながら、この時期に従業員の賃金改定に取り組まれる企業様が多いと思います。

そこで、賃上げ施策に対する助成金3種類をご紹介します。施策を計画的に実施し、それにかかる投資や費用の一部が補填できる可能性があります。なお以下は制度の内容をかなり要約していますので、詳細情報はリング先の厚生労働省のホームページから検索して下さい。
(※助成金の大半は中小企業や小規模事業者が対象とされていますので、企業区分にご注意下さい)。

【キャリアアップ助成金】
◆処遇改善支援に関するコースの中の、「賃金規定等改定コース」「賃金規定等共有化コース」

「賃金規定等改定コース」

  • ・対象は有期雇用労働者
  • ・増額改定した日の前日から起算して3ケ月以上前から改定後6ケ月以上雇用
  • ・賃金規定等を整備し、3%以上増額改定し有期雇用労働者に適用
     ※職務評価を経て賃金規定等を改定する場合は加算措置あり。

「賃金規定等共有化コース」

  • ・対象は雇用するすべての労働者
  • ・就業規則または労働協約で定めた賃金規定等を正規・非正規の区分なく共通化
  • ・有期労働者は共通化した日の前日から起算して3ケ月以上前から改定後6ケ月以上雇用
    • 共通化した区分(例:1等級、2等級・・・)に格付け   <共通化イメージ👇>
区分
(能力等を要件定義)
正規雇用者⇒月給で支給
(月間所定労働時間168時間とする)
非正規雇用者⇒時間給で支給
5等級     250,000円   ※格付けなし
4等級     220,000円   ※格付けなし
  3等級(共通)     193,600円   時給1,100円
  2等級(共通)     176,400円   時給1,050円
 1等級    ※格付けなし   時給1,000円

◆賃金改定前に都道府県労働局に計画書を申請をし、受理してもらう必要あり。
(※計画受理以前に実施した賃上げは助成金支給対象にはならない)

詳しくは👇
キャリアアップ助成金|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

【働き方改革推進支援助成金】

「労働時間短縮・年休促進支援コース」「勤務間インターバル導入コース」「労働時間適正管理推進コース」の各コースのオプション(※働き方改革推進の取り組みに加え、賃上げを行った場合に加算)

◆3コース共通

  • ・各コースに設定された取り組みをいずれか1つ以上実施する
      労務管理者研修 または 労働者研修、周知、啓発、外部専門家によるコンサルティング、
      勤怠管理システムの導入・更新、労働能率増進のための設備投資、機器導入・更新 など
  • ・各コースに設定された成果目標の達成
  • ・賃金引き上げ(オプション)を実施
  • ・引上げ人数、引上げ率に応じて助成

◆事前に都道府県労働局に交付申請書を申請し、受理してもらう必要あり。
(※交付申請書受理以前に実施した施策や賃上げは助成金支給対象にはならない)

詳しくは👇
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
働き方改革推進支援助成金(勤務間インターバル導入コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
働き方改革推進支援助成金(労働時間適正管理推進コース) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)

【業務改善助成金】※2023年8月31日申請対象が拡大されました

  • ・雇入れ後3ケ月を経過した労働者の事業場(本社、工場、店舗)内最低賃金を30円以上引き上げ 
     (例)事業場内最低賃金990円 引上げ額30円コースを申請 地域別最低賃金980円の場合
        Aさんの時給990円を1,020円に⇒対象(※引上げ後の最低賃金は1,020円になる)
        Bさんの時給1030円を1,050円に⇒対象外(※引上げ前に最低賃金を上回っている) 
  •   ※事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が50円以内の労働者の賃上げが対象   
  • ・生産性向上のための設備投資等を行う
     (例)POSレジの導入による在庫管理のシステム化
  • ・デリバリーサービス用車両の増設
  • ・設備投資に伴う教育、訓練
  • ・賃上げ申請コース、引き上げる労働者数に応じて助成

◆事前に都道府県労働局に交付申請書を申請し、受理してもらう必要あり。
(※交付申請書の受理以前に行った賃上げや設備投資等は助成金支給対象にはならない。ただし、50人未満の事業場の場合、賃上げ計画の提出は不要。2023年4月1日~12月31日に賃上げを実施していれば、支給対象となる)

詳しくは👇
業務改善助成金|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

👇その他、詳しい説明をご要望の方、ご質問等は「お問い合わせフォーム」をご利用下さい
お問合せ | HRDコンサルティングオフィスWebサイト (hrd-cs.co.jp)

人財育成計画や組織活性化策など、お気軽にご相談ください。

お問合せ