『人手不足と求人難』問題を考える

過去の掲載事例【2019年12月掲載】

多くの経営者、人事ご担当者様にとって今年の重点課題は何といっても「働き方改革」関連法案対応だったのではないかと思います。

時間外労働の短縮はもとより、労働時間そのものの短縮、有給休暇取得奨励、健康管理面での手厚い配慮・・・。 このため、社内規程改定、運用ルールの見直し、新しいシステムの導入そして従業員の意識改革への働きかけ、など、施策実行の連続で大変ご多忙な1年をすごされたこととお察し致します。

ポジティブに言うなら、使用者も従業員もあるべき働き方について考え、従前のやり方を見直すいい1年であったと思います。 来年も引き続き関連法案が施行され、「働き方改革」は加速しますので、継続してこのテーマに取り組んでいかねばなりません。

加えて引き続き人手不足、採用難対策にも取り組んでいかなければなりません。この問題はますます深刻化しています。 特に接客力が商品力ともいわれる小売業、飲食業、サービス業においては人手不足は死活問題に発展しています。 365日24時間営業が代名詞だったコンビニエンスストアでも24時間営業をやめる店舗が続出していますし、元日休業はもとより通常月でも店休日を増やす店舗を多く見かけるようになりました。

3年前この”お知らせ”で従業員の採用難に備え、実施することについてコメント致しました。その際、従業員の新規採用を活発に行うことは大切ですが、同時に「従業員が安易に退職という選択肢を選ばない職場環境づくりへの取り組み」が肝要ではないかと提言しました。3年後の今、再び同じ提言をさせて頂きます。従業員が退職する事由はさまざまですが、概ね職場の人間関係に起因しています。

モチベーション高く仕事に向き合うためには遂行すべき「仕事そのものに関する情報」と「周囲の人とのコミュニケーションすなわち””承認””」が不可欠な要素である、といえます。 つまり、これらを常時、職場で実践することで””退職””は回避されるのではないか、と考えます。

当社では従業員満足度調査(以下ESサーベイと称します)を通じて、組織やチームの問題点を抽出し、その対策、改善のお手伝いをさせて頂いていますが、アルバイトスタッフを対象としたESサーベイの結果をでは、「働く上で大切なこと」について2012年度の調査では 1位:コミュニケーションがスムースにとれている、 2位:仕事をする上で必要な情報が十分に提供されている、 3位:教えてもらえる環境やしくみがある  でした。 7年後の今年2019年の調査結果では、「コミュニケーションがよい」、「情報提供されている」、「育成のしくみがある」が同じスコア(97点/100点満点)で1位でした。 「働く上で大切なこと」の項目は他に「適切な評価制度がある」、「快適な設備環境がある」、「希望どおりの時間帯に仕事ができる」、などがありますが、前者3項目は後者の項目より3~4ポイント髙いという結果でした。

つまり、アルバイトスタッフにとって「働く上で大切なこと」は7年後の現在もほとんど変化がなく半ば恒久的なテーマであるということです。 この「働く上で大切なこと」は部門やチームのリーダー、仲間と互いに認めあい、双方のために情報提供する、という承認関係の形成で実現できます。””承認””は普段から意識的に実践することで自ずと身につく行動です。

メンバーが日常から承認を実践している部門やチームでは”退職””という選択は発生しにくいと考えます。 つまり””退職””は従業員が下した結論、結果であり、周囲はその結論、結果に対して力を及ぼすことはできません。ただその結論、結果を回避するための原因づくりを常時行うことはできます。

人手不足になって、採用難を嘆く前に、普段から退職を回避する施策を講するべきではないでしょうか。まずは組織やチームの実態をしっかりと把握することからお取り組み頂くことを推奨致します。

人財育成計画や組織活性化策など、お気軽にご相談ください。

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